スペシャル対談

  • 1
  • 2
  • 3

戦略法務は、事業リスクを潰していく
「攻め」のリスクマネジメント

斎藤:私の論文が優秀論文賞をいただいたことも、この2年間の集大成として記憶に鮮明に残っています。

杉浦:ライツ・オファリングという最新の資金調達方法の論文でしたが、戦略やマーケティングなど、分野の違う先生たちも高く評価していました。御社ではちょうど、2回のライツ・オファリングを実施されていましたが、その当事者である斎藤さんが書いた論文なので、たとえば弁護士の方などが書いたものとはリアリティが圧倒的に違いました。あまりにも真に迫っていて、皆が斎藤さん以上の語り部はいないと感じたのでしょう。

斎藤:CBSに通っていた2年間は、当社がライツ・オファリングを検討・実施した時期とちょうど重なったこともあり、国内でもあまり事例がない資金調達方法でもあったのでライツ・オファリングの手法について論文を書かせていただきました。法学部やロースクールではなく、あくまでもビジネススクールの論文なので、法律の部分よりもケーススタディとそれに対する評価に軸足を置きました。実際に業務で携わる中で、ひょっとするとこの部分は立法者の配慮と企業側が感じるものと乖離していたのでは?とか、今後、この法律がこう変わっていくことが望ましいのではないかなど、私なりの意見もかなり盛り込みました。私自身、ライツ・オファリングは増資の手段として良いものだと思っているので、もっと日本でも発展して欲しいですね。CBSの講義で教授が最初におっしゃったことはビジネス展開に必要な法的枠組みについてでした。要するにルールをまず知り、そのルールの中で、もしかしたらこんな動きも出来るのではないかと考えることが大切だということです。ライツ・オファリングの事例もまさにそうで、ルールを熟知してアイデアを絞れば、法務という管理部門からもゴールに向かってシュートが打てるのだとわかりました。

杉浦:これまでの法務部員は、六法を理解していれば良かったという傾向がありましたが、今必要とされている法務部員は、発生する案件に即座に、かつ適切に対応できる人なのです。企業が新しいビジネスモデルの創出やイノベーションを積極的に進めようとするなかで、そこで最低限のルールをきっちり守れているかを確認し、企業のレピュテーションを守り、時には、事業推進のために官公庁等への積極的な働きかけも行うのが法務の重要な役割です。守るだけでなく、攻撃もしなければいけません。つまり、経営に直接参画できる法務戦略マネージャーの育成が今後、さらに重要になってくると思います。

斎藤:CBSで経営法務を学んでいたときも、MBAを取得した今でも、高い経営倫理とコンプライアンスの意識を持って、さまざまな経営課題ひとつひとつに対するリスクマネジメントをしていかなければいけないと痛切に感じました。つまり経営法務とは、リスクマネジメントの全体を底上げする大きな力であり、企業が攻めの姿勢を貫いている限りは、なくてはならないものだと思います。

  • 1
  • 2
  • 3